園芸療法は、立派な脳トレ

園芸療法は、植物を育てる過程で脳を活性化し、認知症予防にも効果があると言われています。

先月、高齢者の方々に向けて園芸療法プログラムを行う際、ヒヤシンスを二つ持って行きました(写真)。
「この2つのヒヤシンスは、どちらも同じ日に同じお店で購入して、同じ日に植えました。こちら(右)はもうすぐピンクの花が咲きそうです。なのにこちら(左)はまだまだです。何が違ったのだと思いますか。どうしてこんなに成長が違うのでしょう?」とクイズを出しました。

公営住宅で暮らす皆さま方は、その違いに「えー、なんでー」と口々に言いながら、ざわざわしてリアクションは大きかったのですが、どうしてこんなに違ってくるのか、答えが出るには至りませんでした。

同じように老人ホームでも聞いてみました。ホームの皆さまは、認知症が進行している方々が多く、ヒヤシンスをじっと見ているだけで、成長の違いを感じていらっしゃるかどうかもわかりません。
そろそろ答えを言おうかな、と思ったその時、
「置き場所が違ったからじゃないかしら」
と突然Aさんがおっしゃいました。
Aさんはホームに来られるまでは、自宅でいっぱい花を咲かせておられたそうで、「いつもお花をさわってたのよ」と初めてお会いした時、長い間、語ってくださいました。植えた花をスケッチして、その絵を見せてくださったこともあります。お花が大好きなのです。
そんなAさん、認知症が進んで、短期記憶(最近のことの記憶)が厳しいとお聞きしていたので、さらりと答えをおっしゃったことに、私は正直びっくりしました。

「Aさん、大当たりです!場所が違ったんです」
と私の方が喜んでしまって、思わず声も大きくなりました。
「こちらのヒヤシンス(右:花が咲いている方)はお部屋の中で育てました。お部屋の中は暖房が効いていて暖かいので、もうこんなに成長しました。こちら(左:咲いていない方)はお外で育てているヒヤシンスです。あと少し暖かくなるまで、お花は咲きません。何色の花が咲くかもわかりませんね」とお話しました。

Aさんは話を聞きながら、嬉しそうにうんうんとうなずいておられました。

認知症が進んでも、好きだったこと、熱中していたこと(ここでは植物の成長のしくみ)はしっかり覚えておられることに私は感動しました。
Aさんにとって、今日の園芸プログラムは、楽しむだけでなく、よい脳トレになったのではないでしょうか。
他の方も「なるほど、そうなんだ」と、しっかり花を見るようになり、植物の成長の違いから花に興味を持たれたようでした。たとえ就寝する頃にはもう忘れてしまったとしても、この園芸療法の時間に少しでも心動くことがあって、楽しい気持ちになったことは十分意義があると思います。

リフレッシュ園芸講座 2025年4月開講

園芸工房mokumokoでは、4月よりコープ大久保にて、簡単で手軽に楽しめる「リフレッシュ園芸教室」を開講します。
心と身体、そして脳にも効果的な、高齢者の皆さま中心の寄せ植え教室です。
認知症の方も、ご家族さまと一緒に参加していただけます。
ぜひお問い合わせください。

日時:毎月第4日曜日 10時半~11時半
料金:チケット制3回分16,500円(1回5,500円、有効期限6か月)
場所:コープ大久保2階「コレル大久保」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!